2016/06/12

パキスタン 名誉の殺人

最近、立て続けてニュースになってますね。

どっちもラホールですか?
つまり、田舎はもっと酷いし、だから、当たり前すぎて、ニュースにもならないのかとか勘ぐってしまいます。

ただ、なんとなく、ニュースのコメント欄を見て、前提状況の認識違いがあるように感じました。

日本では、子供は一家に2人や3人、1人ですが、パキスタンでは死ぬ分も産んでおくように感じます。

たった一人の娘を殺すのではありません。

残りの娘たちの結婚のため、息子たちが嫁に浮気されないように、小さな犠牲を払うのだと、私は想像しています。

きっと合理的なんだと思いますよ。

育てきれないほど産んで、兄弟の生存競争を生き抜いた強い子供が残る。大人になったら移民する。

11 件のコメント:

  1. 私の感想。パンジャーブ(特にラホール「周辺」。ラホールだとしても「郊外」)に超多い。
    それぞれのシチュエーションで状況が違うので、十把ひとからげでメディアが「名誉殺人」と銘打つのはいかがかと思う。
    求婚を拒否られて殺したのは単なるわがまま男。「俺の意に背くならお前との結婚は諦めるがお前の存在を消してやる」と。
    家族(大概娘)が家族の意に反する恋愛沙汰を起こした時に殺してしまうのは、「お前のせいで私たち家族が後ろ指を指される。そんなお前を放っておいて、私達が笑い者に甘んじる事は耐えられない」と。

    決して肯定していませんが、こんな感じかな、と。

    自分達が他人にバカにされるのが耐えられないから原因となっている人間を殺してしまうのだと思います。

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  2. 私は一人っ子です。両親はどうにか「戦中派」。

    私が小さい頃近所の人(戦中派)に「一人だけなんて、この子が死んだらどうするの」と言われて両親、特に父が憤慨したそうです。
    「子供は捨て駒じゃない」。
    でも、結局戦中派ぐらいまでにはそういう「捨て駒が何人かいてナンボ」という考えの人がいる、いた、という事だと思います。

    多いから雑に育てる、少ないから丁寧に育てる、ということではなく、親の考え方の違いだと思います。

    都会でも大雑把な育て方の人もいますし、ド田舎でもしっかりした育て方をしている人がいます。

    第一。
    独身者同士の恋愛ならば、姦通ですらイスラームでは死刑ではないんです。本当は(細かい規定はあるし、決して奨励されていないけど)。

    話がそれますが。

    パキスタンの一部、そしてアフガニスタンで「女性の鼻をそぐ」という事件が結構ありますが…

    あれも同じようなもの。
    「俺に盾突く女なんて、『不名誉』にしてやる」と。

    これは私の推測なのですが…

    パキスタンでは「不名誉になる」というのを「鼻が切れる」と言います。

    あの「鼻削ぎ事件」はそういう傲慢な感情を相手に押し付けて晒し者にするための直接的な行為なんだと思います。

    …アメリカの小説「緋文字」では、姦通罪の女性に(相手が誰だかは決して答えなかったので単独の処罰)一生胸に「赤いAの文字」の刺繍された服を着る、という判決が言い渡されます。

    Aはadulty(貫通)の頭文字。
    これを一生着て「私は姦通をしました」と世間に晒される、という罰。

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  3. 済みません、訂正。adultyではなくadulteryでした。

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  4. 思い出したので、戻ってきました。

    義母は14ぐらいで一番上の子(長女)を出産。40の時に「9番目」の子(末娘)を出産。

    現在きょうだいは四男四女の「8人きょうだい」。
    次男として生まれた息子が3,4歳で亡くなっています。

    義母は既に他界しましたが、存命中にふと子供の話になった時に、「時々夢に真っ赤なバラの花が出て来る。でもこのバラはあの亡くなった子だと分かる。今でも辛くて泣いてしまう」と言っていました。

    丁度私がこの話を聞いた時、長兄の嫁さんが一緒にいました。
    彼女は2回流産し、3回目で帝王切開で娘を出産。
    4回目の妊娠で2回目の出産の時に、何故か自然分娩を希望…死産になりました。
    その後娘と息子1人ずつ生まれ(全て帝王切開)ましたが、「未だにあの死産だった子の顔を思い出すと辛い(※医師が見せてくれたそうです)」と言っていました。

    それぞれ子沢山でありながら、亡くなった1人の我が子を忘れられずにいる嫁と姑。

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  5. 身近なパキスタン女性に聞いたら、『名誉の殺人は、昔に比べてずっと減っている。』と言っていました。と言っても、シーアールコートのことしか知らないと思いますが。
    『政府がこういった風習を止めさせようと、たくさんニュースに流しているのでは。』
    とのことです。

    私は、こう時代が変わったから、若い世代の認識と年上の世代、西洋的な教育を受けた人と昔からのやり方を踏襲するだけの人との、摩擦が増えたのかと予測していたのですが、違ったようです。

    結構、多くのパキスタン人は、きっと、こういった殺人は、表ざたにして、なくしていきたいんですね。

    どんなに子沢山でも、亡くした子供は忘れないでしょう。私の書き方は意地悪でしたね。
    でも、子供も稼ぎ手である階層も、パキスタンには少なくないですよね。
    年金みたいな意味で、男児が少ないのは、大金持ちを除いて、将来の不安ですよね。
    そこまで金持ちでないケースとしては、とあるお医者さんの一家は、子供は娘だけ3人でしたが、どの子も奨学生になるような勉強のできる子たちだそうで、さんざん自慢しています。きっと医学部の入試も余裕で突破できるのでしょう。介護を除くと、経済的な悲惨さは、少ないと思います。

    傾向として、私の住んでいる地域は、子供の数は少なめです。どこの家も、複数の使用人がいて、いくらでも手をかけられるのに。
    私は子供たちをパキスタン基準で学費が高めの学校に入れていますが、生徒は兄弟は少なめの子が多いです。そして保護者面談は、両親そろって来ています。
    大切に育てるかは、家庭によりますが、大雑把に比較すると、やはり子沢山は、学費をかけず、手もかけずに育てていると思います。

    そして、やはり血がつながった、20年ほどを一緒に過ごした、家族を殺すのは、必ず悲しくつらいことだと思います。
    それなのに、やらざるを得ないのは、何かしらの合理性があるのだと、思います。

    そして、その殺人は、イスラームでは非合法ですよね。
    でも現実に、レイプ事件があると、被害者の女性が独身でも姦通で死罪になって、犯人が既婚でも無罪放免されたりしていますよね。

    --これは本当のイスラームではない。--
    たくさん聞きましたが、アッラーに心から許しを請えば(その不正行為によって得たものを手放さずとも)天国に行ける、ので、本当のイスラームは本の中にあります。


    話は変わりますが、ニュースで目にするテロ事件、いくら戦争状態でも、非戦闘員の、それも子供の虐殺は、非合法で間違いないですよね。

    第一次世界大戦以降(だったかな?)、戦争は、軍人同士の戦いではなくなり、国家の総力戦になりました。つまり、以前は殺されなかった、民間人である女性子供老人も殺されるようになったので、イスラーム法でも合法になったのですか?
    現代では、奴隷にもできないので、殺しとけ、ということですか?
    イスラム法の解釈が変わったのですか?

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  6. 「正しい(笑)戦い方」としては、イスラームでは住宅街での戦争は禁止、木を切る事は禁止、他宗教であれ聖職者を殺す事は禁止、女子供老人等弱い者を殺してはいけない(現代解釈をすれば、病院等への攻撃も禁止)等々。

    現代のムスリムの国の戦いは「イスラーム法に則って」はいません。
    だからイスラーム法で合法になったわけではありません。

    ただ…「言い訳」「釈明」としては、「相手が見境なくこちらの国民を襲って来るのだから、こちらとしても国民を守るためには手をこまねいてばかりはいられない」というものなのかもしれません。
    まさにアッラーのみがご存知です、といった感じでしょうか…

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  7. 強姦事件の件ですが。
    私と似たような意見を同志社大学の内藤正典先生がツイッターに書かれていました。
    先日マレーシアで起きた14歳少女への強姦事件。これの判決が「加害者が被害者と結婚する事」となりました。

    いやいやいや。
    もし「『姦通』の当事者同士が結婚すれば御咎めなし」というイスラーム法を適用するのならば…

    被害者女性の意向無視で、加害者男性と結婚させるのは間違っているだろう?
    ※女性が拒否した場合婚姻は成立しない

    加害者がもし(記載なし)既婚者ならば、即刻石打ちにすればいい。

    両者の同意のある「姦通」の場合は、未婚者はむち打ち(懲罰刑)、既婚者は石打ち(死刑)なのだから、相手(被害者)の同意のない「強姦」の加害者が既婚者の場合は完全に石打ちだろう。

    それらイスラーム法上の決まりを全部無視して、イスラーム法にある「姦通者同士が結婚するなら御咎めなし」と適用して「加害者が被害者と結婚すれば御咎めなし」という判決は間違っている、と。

    同じような無茶苦茶な理論の強姦事件の判決はごっそりあります。
    これは本当に、世界中の法学者が一度集まって決定するべきだと思います。

    「被害者女性が証人を4人集められない場合は、逆に被害者が(加害者である被告に対しての)名誉棄損罪で訴えられる」というのはおかしな解釈です。

    何故ならば、その「証人4人云々」というのは、元々「貞淑な女性の不貞を訴える者は、証人を4人集めよ。それができないのならば黙っていろ」というもの。
    元々女性の名誉を守るため(それも強姦ではなく姦通のような不貞の疑惑に対する名誉保護)の決まりだったのに、何故か強姦事件の加害者を保護するものと化している。

    私はイスラーム法を勉強した者ではないので断定はできませんが、間違った解釈だと思います。

    それも、被害者が死刑宣告されて加害者が無罪放免というのは完全におかしい。
    それも、被害者が独身で(姦通罪の場合でもむち打ち以上はない)、加害者が既婚者(姦通罪の場合は完全に石打ちの死刑)という場合でも、です。

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  8. パキスタンの強姦事件ですが(特定のソレではなく、事件全体の話)。
    取り敢えず「事件」として取り扱ってくれます…警察及び裁判所が良心的ならば。

    私は刑事事件に詳しいわけではありませんが、今までの報道から見えるのは…

    マスコミが騒いだケースは犯人が捕まり実刑判決。
    でも多分これはイスラーム云々ではなく「刑事事件」として。

    10歳以下の少女が被害者、というケースで犯人が逮捕されたのをパキスタンのニュースで数回観ました。

    かと思うと…前述のように、実際は女性を名誉棄損から守るの為のイスラーム上の規定(証人を4人集める)を、強姦加害者の名誉を守るために行使されているそうです。

    被害者女性のインタビューを数回読みました。
    そこに「もし証人を4人連れて来られない場合は、原告(被害者女性)を被告(加害者)に対しての名誉棄損で逆に訴えられる」と裁判所だか警察に言われて泣き寝入り、だと。

    日本でも若干有名になりましたが、パンジャーブの田舎で組織的に集団強姦されたムフタール・マーイー(ムクタール・マイ)。彼女も地元ではなくどっか都会の裁判所か警察に訴えたのをマスコミが報道したんじゃなかったかな?

    そして彼女は勝訴。

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  9. 名誉殺人。

    勿論パキスタン全土で起きているのでしょうが、パキスタン自身の報道でも出て来るのはパンジャーブでの事件ばかり。

    名誉殺人もアッシド・アタックもスィンド州では聞きません。あるんでしょうけどね。

    過日殺されたSNSアイドルのカンディール・バローチはバローチ族(ホントらしい)ですが、やはりパンジャーブ出身。

    別にパンジャービーがどうとかいいたいのではなく…

    過日日本のある番組で、このカンディール・バローチを中心に名誉殺人についての解説がありました。
    解説したのは在日パキスタン人(でも「台本」はある程度は番組側が用意したのかもしれません)。

    そこでこの在日さんが説明したのですが…
    この人の説明は全体的におかしかったのですが、

    「この女性ね、バローチなんです。アフガニスタンとの国境沿いで、パキスタンの法律が通用しないfree stateなんです。パキスタンの北側です」

    …パキスタンの北側はKPK州です。バローチスターンは南西側です。
    それにfree stateはKPK州のほんの一部、本当にアフガニスタンとの国境近くの一部分。KPK全体がそうではない。

    いや、カンディール・バローチはバローチで、出身部族はパキスタン南西部の州。
    それに生まれ育ったのはパンジャーブのど真ん中。

    でね。
    バローチ民族はパンジャーブに何故か沢山いるんです(プチ移住)。
    バローチの悪習だというならばそれでもいい。

    でも、どうしてもパンジャーブに注目してもらいたくないような説明。

    どちらにしても「パキスタン北部の部族云々」という説明は間違っている。

    …でも日本人知らないから、誰もつっこめないですよね。「そうかぁ」って思うだけ。

    因みにこの「解説者」はパンジャービー、もしくはパンジャーブ出身者(ウルドゥー、英語、パンジャービーの通訳ができる、というので)。

    彼は自分の地域で起きている、という事を認めたくないんだと思いました。

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  10. 日本の番組で解説した在日さんの口から出た「free state」はKPK州のほんの一部、と書きましたが。

    そのfree stateの構成部族は、カンディール・バローチの同族のバローチではなく、パシュトゥーンです、KPK州全体と同じく。

    どちらにせよ、カンディール・バローチの部族のいるバローチスターン州(…パンジャーブにも沢山いるんだけど)はfree stateはなく、パキスタンの北側ではなく南西部。

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  11. 警察や裁判所に訴えたのが大都市か地方かで、マスコミに出るか出ないかが決まり、それによってその後の判決が変わってくる。なんとも納得できる話です。

    イスラームは、人によって解釈がバラバラで、解釈について議論できなくて(すぐに、あいつは信心深くない、という人格攻撃に移る)、それによって社会を運営するのは、現実的に不可能なんだと思います。宗教は人の心を縛るだけ。私にとって理不尽さを強いられることは多いのに、救いを感じられないです。議論できないから、その都度その都度、社会のメインストリームに近いところに便利なように解釈していくと、女性であったり外国人である私には、納得いかない!、となるのだと思います。
    日本に住んでいたころは、イスラームは私の心のなかだけで完結していましたが、いざパキスタンに住むと信仰心を維持するのがかえって困難です。

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